0.はじめに
戦後、大規模に地方から大都市へと労働力の流入があった結果として、住宅不足が発生し郊外に大規模な住宅地が開発され今日を迎えています。こうした新市街地の今後は人口の減少に伴う世帯数の減少によって、居住者のいない余剰住宅(空き家)を生み出し、コミュニティの崩壊に続き、市街地自体が崩壊する可能性も内在しています。
郊外の新市街地居住者は、にわかに現実味を帯びた縮小経済下での衰退のシナリオを前に複雑な気持ちでいると思われます。とりわけ大規模なニュータウンのようにベッドタウンに位置づけられた住宅市街地では住宅需要が市街地の命運を占うだけに、今後の方向を予測し対策を練ることは重要となります。そこで我が国最大の新市街地である多摩ニュータウンに例を求め、新住宅市街地の方向を探っていきます。
1.空き家状況(1)
住宅土地統計調査によると全国的な傾向として1998年調査から空き家率が急増しており、1993年調査までの1%の増加から、1998年では2%を越える増加が見られ、2003年調査では12%を越えています。
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