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【テーマ】「写真愛好家からみた多摩ニュータウンの住環境」 【講 師】小林清 氏(多摩市鶴牧在住、たま・まちせん会員)
今回は市内鶴牧在住でたま・まちせんの会員でもある小林清さんにお話していただきました。小林さんは、2007年9月(第27回)に続いて2度目の登場になります。前回は、ご自身がお住まいの団地における大規模修繕の計画から工事完了までの苦労話など参考となるお話を聞かせていただきました。小林さんは建築・まちづくりの専門家でもあり、写真や自転車ツーリングなどの多彩な趣味もお持ちです。今回は、ご趣味の写真を通してニュータウンの様々な姿をご紹介いただきました。
小林さんが趣味の写真で活躍されているのは、落合・鶴牧地区のコミュニティセンター「TOMハウス」を拠点に活動する「写友会」という団体で、約20名が参加され、毎月の例会や定期的な発表会が行われているそうです。写友会のメンバーがこれまでに撮りためてこられた多くの貴重な写真をCDにまとめられたということで、その中からよりすぐりの写真を、たくさん紹介していただきました。(正確には何点見せていただいたのかわかりません。200点以上あったかもしれません。)
普段、私たちが目にすることがめったにないようなニュータウンの周辺に残された里山や小野路などの谷戸の棚田など日本の農山村の原風景のような姿、ニュータウンのど真ん中の中央公園の池で遊ぶカワセミなど、ニュータウンは自然の動植物と共生する空間になっていることがわかります。
春の桜、夏の青空、秋の紅葉、冬の雪化粧……四季折々に変化する風景は、ニュータウンという硬質な響きとはやや趣の異なる自然や季節感に満ちた、私たちのふるさとである多摩の街の姿です。
多くのすばらしい写真を見せていただきながら、今度の休日には、写真を片手に、自転車で散策してみようなどと思っていたのは、私だけではないかもしれません。小林さん、心温まる楽しいひと時をありがとうございました。
(2008.12.31[Wed]記載)
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【テーマ】「住まいの記憶と継承」〜地域再生・団地再生に生かせる視点とは〜 【講 師】志岐祐一 氏(建築家・国立市在住)
今回は国立在住の建築家、志岐祐一さんをお迎えしました。志岐さんは建築物がもつ人々の暮らしや思い出をつないでいくため、単に建築の保全、再生ということだけでなく、人々の記憶にとどめ記録として残していくという取り組みもされています。
「住まいの記憶と継承 〜地域再生・団地再生に生かせる視点とは〜」という、事務サイドからの多少ふりかぶったテーマ設定でお願いしましたが、ご自身のこれまで携わってこられた実践や経験を通じての取り組みや日ごろのお考え、思いなど、期待を裏切らない面白いお話をお聞かせいただきました。
志岐さんは、同潤会代官山アパートの解体にも立ち会われてたそうです。その住戸の部材をそのまま保存、再生したものが、八王子のUR技術研究所の集合住宅歴史館の一角に再現、展示されています。ここには、ほかにも前川國男設計の晴海高層アパートや昭和30年代の公団の団地住宅を代表する蓮根団地の住戸など、戦前、戦後の集合住宅の歴史を実物でみることができます。ご覧になっていない方は必見です。ぜひ行ってみてください。
また、八王子の大学セミナーハウスのワークキャンプ「ぐるぐるつくる」というプロジェクトではセミナーハウスの改装、増改築などで痛んだセミナーの広い敷地の山肌を建築家や学生、社会人など、いろいろな人たちが集り、年に2度のワークキャンプで修復していこうという活動をされています。志岐さんは、この活動を通じての思いを、ある業界雑誌のエッセイに「片思いの保存運動より、両思いの再生作業のなんとすがすがしいことか…」と書かれています。使い続けたいという使う人の意志と、使いやすいように、使われやすいように修復、再生しようという思いが一緒になって、建築の生きた再生が可能になるということなのかなと思います。
(2008.11.30[Sun]記載)
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【テーマ】楽しく暮らし楽しく老いる ―自立して暮らす キーワードはグリーン&クリーン 【講 師】浅井民雄 氏(1971年多摩ニュータウン第1期入居(諏訪2丁目)以来、豊ヶ丘2丁目、諏訪1丁目など37年のニュータウン暮らし。仕事:グラフィックデザイン(版画、イラストレーション、企画編集))
今回は、多摩ニュータウン居住暦37年で、生ごみの堆肥化の推進を目指すNPO活動等に取り組んでいらっしゃる浅井民雄氏に、「“農”のあるまちづくり」についてお話をうかがいました。2006年3月に続き、2回目のご登場です。
私たちの暮らしの原点は“食”であり、それを支える“農”を核としたまちづくりが、成熟期を迎えたまちにとって重要であり、身体的、精神的健康とともに、地域交流、同世代・多世代交流や社会参加を促進などが期待できるとのことです。市内保育園や周辺地域で進められている食の供給を通した地域循環、資源循環のいくつかの実践事例をうかがいました。
また、「“農”のあるまちづくり」の中で、高齢者自らがいわゆる静脈産業を担うしくみづくり、高齢者のための新事業創出が、高齢者が楽しく、いきいきと暮らすことのできる社会の実現につながる、キーワードは「グリーン(緑・農)&クリーン(リサイクル・清掃)」ということです。
事例として、栃木県茂木町の地域資源の堆肥化の取り組みでの元気な高齢者のお話が印象的でした。
最近、私たちの周りは“食”を脅かす事件が頻発しています。食の安全や安心して口にできる食材というだけでなく、エコロジカルなライフスタイルを楽しむという意味でも、農ある生活は豊かで充実したものなのだと感じられるひと時でした。
お話の後の懇親会では、都市生活と農業の共存の問題から、多摩ニュータウンの将来に至るまで幅広く活発な意見交換が続きました。さまざまなまちづくりのヒントや提案をいただき、ありがとうございました。
(2008.10.31[Fri]記載)
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【テーマ】「多世代交流空間の研究」 【講 師】小山展宏 氏(早稲田大学理工学研究所嘱託研究員(社会システムデザインプロジェクトアーキビスト)) 今回は早稲田大学理工学研究所嘱託研究員(社会システムデザインプロジェクトアーキビスト)の小山展宏さんをお迎えして、ライフワークとして研究を続けておられる「多世代交流空間の研究」、また、その過程の中で今もかかわりを続けておられるデンマークにおける多世代交流の事例や様々な体験についてお話をうかがいました。
建築家を目指していた小山さんが大学の卒論時に「多世代交流空間の研究」に取り組んだきっかけは、コミュニティや人と人のつながりの希薄・減少に起因すると思われるさまざまな社会の出来事の中で、これからの時代に新しい形で人と人のつながりをつくるために、コミュニティを形成する要素を世代間で継承していく、世代間交流の場が必要ではないかとの思いからだそうです。
多世代交流空間の実態把握のため国内で調査を進めた後、「児童教育」「高齢者福祉」「コミュニティ」「デザイン(創作)」という点に調査のキーワードを絞り込んだ中で出会ったのがデンマークということです。
デンマークでの多世代交流の場の事例の一つとして紹介されたのが、「フォルケホイスコーレ」という生涯学習学校でデンマーク国内に約80校が存在するそうです。ここは、満18歳以上の人間であれば誰でも(外国人でも)入学可能な教育機関で、小山さん自身も参加されたサマーコースでは、10代から70代までの参加者が、共同生活(全寮制)の中で、「楽しく」学びながら、多世代交流が自然に発生しているとのことです。年齢に関係なく「楽しく学ぶ」機会が、多世代交流の一つのヒントであるようです。
このほかにも、避暑兼語学習得に訪れるデンマーク人も多いカルゥ国際語学学校、帰国後に小金井市で実践されたグリーンスクール(生涯学習体験教室(日本版フォルケホイスコーレ))などの興味深いお話が続きました。また、デンマークの家族間の結びつきの強さや近隣づきあいの様子、高齢で一人暮らしをする女性の自立意識など、小山さん自身の当時の驚きが伝わる体験談も盛り沢山でした。
『理論だけではなく、「かたち」にするのが建築家である』、という「ものづくり」家らしいポリシーをお持ちの小山さんですが、今後は「人間・時間・空間と手間・仲間・世間」の「間のデザイン」に注目し、多世代交流空間研究の次のステップと空間・施設づくりを目指されるとのことで、ご活躍を期待しています。
(2008.9.30[Tue]記載)
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【テーマ】学校建築を活かす〜学校建築ストック再生 【講 師】倉斗綾子 氏(早稲田大学人間総合センターリサーチレジデント、首都大学東京客員研究員)
今回は、元首都大学東京COE研究員で、現在は社会福祉法人のリサーチレジデントとして早稲田大学人間総合研究センター勤務、また首都大学東京客員研究員、国立教育政策研究センターリサーチアシスタントとして多彩に活躍されている倉斗綾子さんをお迎えして、学校建築を活かす〜学校建築ストックの再生〜というテーマでお話を伺いました。
倉斗さんは、首都大学東京21世紀COEプログラムの学校再生プロジェクトチームの一員として、学校建築の再生、改修、転用について研究されてきました。研究の中では、東永山小学校をモデルとしたコンバージョンの提案も行われています。
全国の学校は、そのまま使い続けるにせよ、転用するにせよ老朽化や耐震性、バリアフリー、情報化対応などの面でさまざまな問題がある一方、広い空間や高い階高、全室南向きで 敷地も広く、コミュニティの中心に位置する立地など、いい面がたくさんあるということです。
また、活用事例として、グループホームや高齢者施設やコミュニティ施設としての活用、店舗や公営住宅への転用、校庭の市民農園としての利用など、興味深い事例を見せていただきました。さらに、横浜市で、行政とともに研究されてきた、老朽化した隣接しあう小、中学校を小中一環校として再生しようという例、多世代交流の複合施設への転用を検討した事例など、実現性を意識した転用方策を紹介していただきました。
学校建築時の補助金の返還については、文科省は柔軟になってきているが、一方で、再生するときの新たな補助金の使い道や時期が行政の管轄が壁になって、うまく機能しないといった指摘がされました。複合施設をつくろうとすると行政の縦割り組織の弊害は以前から問題になっていますが、受付や管理スペースを別に設けなければならないといった問題もまだ多くあるようです。
(2008.7.28[Mon]記載)
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