4.永山団地の将来性
このように高齢者世帯は収入を基準とする公営住宅家賃制度では、殆どの場合、最低の所得水準になり、必然的に家賃は安くなる。それとともにUR賃貸住宅と公営住宅の家賃差は大きくなり、UR賃貸から公営住宅への入居希望が高くなる。しかし、入居者である高齢者世帯は変わらないのだから、運が良ければ公営住宅に入ることができるという筋書きである。
実態としてはUR賃貸住宅よりも都営住宅が住戸面積も小さく、全員が要望しているものではないが、UR賃貸住宅そのものにも応能家賃制度を導入する希望も高く、実質的な住まいの品質は変わらないのだから、その供給主体の違いによる家賃基準を改めて、ユーザーに対して不公平のないシステムへの改善が望まれる。
国の政策検討の中でもUR賃貸住宅の活用方法として公営住宅的な役割を導入しようと言う動きもあると聞く。こうした動きに対して居住者に真に平等な支援施策の展開を望みたいものである。本当に住まいに困窮している世帯を救済することを前提として、運不運を競う抽選方式ではなく、世帯の経済力をベースに補助支援する施策として考えることが望ましい。
現状の施策が、天国と地獄の極端な選択しかできない状況を改め、生活状況や家計に合わせた柔軟な居住の選択ができ、施策を展開する方法についても、制度毎に区分された住み替えを前提に共用するものではなく、継続居住と世帯の経済的な自立を前提にした支援施策の展開が望まれるものである。
言い換えると、貧しい人を貧しい人ばかりが集まる住まいに押し込むのではなく、世帯の一時的な救貧に対して家賃支援するシステムを導入すべきだと考えている。
注記:アンケート結果は報告内容をそのまま掲載しているため、合計が100%にならない。
引用:「永山団地自治会だより(平成17年10月24日・第12号)」
文責:多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議 秋元孝夫
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