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第149回(2020年7月17日)

■テーマ:「多摩市での若者参加のまちづくりの試行錯誤と見えてきた今後の方向性について」
■講師: 高野 義裕(たかの よしひろ)さん(多摩市若者会議)

新型コロナウィルス感染拡大の影響で木曜サロンはしばらくお休みしていましたが、7月のサロンはテレビ会議システムによるオンラインサロンを開催しました。初めての試みでしたが、約20名の参加があり和やかな雰囲気で意見交換できました。

今回の企画は、 木曜サロンは比較的年長の参加者が多く、多摩ニュータウンの若者がどういう考え方をしていて、どんな活動しているのか、一度交流してみたいという参加者の声もあり、「多摩市若者会議」の実行委員として中心的に担っておられる高野さんに話題提供していただくことになりました。

高野さんは横浜生まれの多摩市育ちで、大学卒業後多摩を離れておられましたが、結婚後2013年に多摩ニュータウン(八王子南大沢)に戻ってこられました。ご専門はIT関係で、高校生の頃多摩NT公園ガイドというウェブサイトを立ち上げたり、タウン誌の取材の手伝いや多摩サロンの活動などにも参加されていたそうで、多摩市の公募をきっかけに「多摩市若者会議」に参加されたということです。

「多摩市若者会議」は長野県小布施町で始まった「若者会議」をモデルに、2017年から3年間の多摩市の事業として実施されました。事業のねらいは、若者世代(39歳以下だそうです)の視点で多摩市の魅力を発見・創出・発信すること。提言をまとめて終わりとせず、若者世代が自ら企画・実践に取り組む。というものです。

参加メンバーは3年間で延べ735人、平均年齢27.8歳、市街在住者が7割、実行委員が40名(学生7割、社会人3割)という内訳です。市外参加者が多いのは、ファシリテータとして参加されていた林田暢明氏(総務省地域力創造アドバイザー)の人気や影響力が大きいということでした。

2017年度にワークショップやフィールドワークを行い市長に提言、2018年度には提言に沿って活動拠点となる「未知カフェ」を開設、2019年度は拠点をベースにプロジェクトを展開、多摩市の事業終了後、今年度(2020年)から有志メンバーによる合同会社を設立し事業を展開しようとしていたところでのコロナ騒動で、厳しい状況に置かれているというこです。

「未知カフェ」はクラウドファンディングにより215万円を調達し、DIYで永山駅近傍の鎌倉街道沿いにオープンしています。2019年4月から1日店長方式で営業、メンバー以外でも店長可、ギャラリーやイベント利用もできるということです。

これまでに実践されてきた企画には、未知カフェを活用した小学生向けのプログラミング教室、東京ヴェルディ・日テレベレーザを応援するパブリックビューイング、地域イベントに出店できるコンパクトなモバイル屋台などがあります。多摩市の遊歩道41qのgoogleストリートビューの撮影は遊歩道のネットワークが日本一である多摩市では、車道からでは見えない歩行者目線でまちなみがわかる画期的な成果だと思います。まだ見てない方はぜひgoogleMapをご覧ください。

新型コロナウィルス感染拡大防止のため、2020年3月からは未知カフェを休業し、その間東京ヴェルディとのオンラインワークショップ、様々な人との交流を目的としたオンライン未知カフェ、多摩市若者会議のオンライン開催など、様々なオンライン企画を試しています。

今年度から、多摩市から自立して動き出そうとしている若者会議ですが、コアメンバーの継続性、事業の持続性など課題も大きそうです。

今年度、メンバー有志により「合同会社MichiLab」を設立し、未知カフェの法人としての下支え、若者会議の運営への支援やプロジェクト参加、多摩市との協働などを行っていこうとしています。高野さんは、本業の会社の副業制度を申請し、合同会社MichiLab の代表社員として活動されています。

地域や地元の企業・団体との協働・連携事業の話も進行しており、多摩市が2か所のモデルエリアで本年度から始める「(仮称)地域委員会構想」において、諏訪中学校区のモデルエリアで中間支援組織として参加することが決まったそうです。地域委員会構想が動き始めると様々な場で地域の人たちとの接点もでき、新たな協働や交流も芽生える可能性もあり、今後の活躍を楽しみにしたいと思います。

多摩市若者会議ではコアメンバーを募集中です。高野さんたちと一緒に活動したいという方、若者会議に興味のある方、もっと知りたい方は下記サイト覗いてみてください。
・多摩市若者会議公式サイト https://tamayouth.jp/
・多摩市公式サイト http://www.city.tama.lg.jp/category/2-9-11-0-0.html
・未知カフェ https://michicafe.jp/

初めてのオンラインサロンの試みでしたが、飲食フリーで多少舌も滑らかになり、あっという間に2時間が過ぎてしまいました。帰りの時間を気にすることなく、また遠方の方も関係なく参加できるのはオンラインのいいところですね。しばらくの間、オンラインサロンとして開催したいと思います。

2020.7.26[Sun]記載)


第148回(2020年1月16日)

■テーマ:「私がなぜ放射能に30年向き合っているのか? 〜その理由〜」
■講師:小山貴弓(おやま きゆみ)さん(みんなのデータサイト事務局長、多摩市在住)

 今回は、長年放射能・原発問題に取り組んでおられる小山貴弓さんの話を聞きたいという会員の企画で実現しました。小山さんが原発や放射能に取り組むことになったのは、大学4年の時に起こった「チェルノブイリ原発事故」がきっかけだったそうです。就職を控え、企業で働くことで、何も知らないで社会に大きな影響を与えてしまうことに恐れを覚え、たまたま高木仁三郎氏の「いま自然をどうみるか」(白水社)を読んで、高木仁三郎氏を訪ねたことが始まりだったとのことです。高木仁三郎氏は核化学を専門とする物理学者で、地震の際の原発の危険性を予見し地震時の対策の必要性を訴えるなど、脱原発運動を象徴する人であり、小山さんの人生を決定づけた恩師だということです。

 1988年に高木氏の声かけで行われた「原発とめよう1万人行動」への参加、高木氏が校長を務める「反原発出前講師養成講座」を受講し反原発出前の店員となり、高木氏の勧めで、原発問題の講座講師を務める傍ら、エネルギー問題・再生可能エネルギーの普及活動にも携わることになります。

 福島原発事故の後、国会事故調・協力調査員として7か月間寝る時間もなくヒアリングの実務を担われたそうです。その後、「高木仁三郎市民科学基金」市民放射能測定事業・プログラムコーディネータを務め、「みんなのデータサイト」を設立、2018年から事務局長を務めておられます。

 「みんなのデータサイト」というのは、2013年に発足した、全国31の市民放射能測定所のデータをひとつのデータベースに登録したウェブサイト・団体で、土壌の放射能測定結果をまとめた「図説17都道府県放射能測定マップ+読み解き集」という冊子を発行しています。この本はすでに18000部を発行し、2019年には英語版のダイジェストも発行されています。

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784991042706

 チェルノブイリの事故後、ウクライナやベラルーシでは国を挙げて土壌調査が行われ、避難・補償・保養の規準が決められ、原発事故後の現在と将来の放射能汚染予測が経年的に「アトラス」で公表されているそうですが、日本では広範囲の調査は航空機による空間線量調査が中心で本格的な土壌調査は行われていないため、自分たちでやろうと「東日本土壌ベクレル測定プロジェクト」を始められました。

 国の航空機モニタリング調査は福島県と隣接する県の5県だけの調査ですが、みんなのデータサイトでは東日本17都県のエリアをカバーする土壌汚染の測定調査であり、空間線量ではわからない土壌汚染の広がりや大きさがマップで表示されています。

 土壌汚染から想定される食品汚染の状況やどんな食品の影響が大きいのか、淡水魚のほうが海水魚より放射能の影響が大きく残ること、海水魚への汚染のメカニズムなども詳しくお話を伺い、食品汚染の深刻さや子供への影響、国の食品検査の実態などに驚きや不安を覚えられた方も多かったと思います。

 昨年の台風19号で宮城県の丸森町は大きな被害を受けましたが、その廃棄物の可燃物の処理を横浜市が受け入れたというニュースを紹介していただきました。丸森町は福島原発による土壌汚染が大きいところであり、首都圏の大都市で放射能汚染の恐れのある災害廃棄物の焼却がすでに行われているということ。しかもその決定には小泉進次郎環境大臣の意向が強く働いているといいます。

 先に紹介した「東日本土壌ベクレル測定プロジェクト」によると、放射能セシウムの汚染は東北から関東まで広い範囲に及び、その影響は100年後でも関東地域にも残ると予測しています。放射能という無味無臭で目にみえないものは、日常の生活ではほとんど気にしていない、というか気が付かないものです。しっかりした広範囲の測定結果によるデータや、長年の経験と知識に裏付けられたお話は説得力のあるものでした。

 小山さんのお話のほんとの一部しか紹介できなく、またたくさん見せていただいたマップ情報などもお見せできないのが残念です。データや解説は、みんなのデータサイトのホームページからも見ることができますので、興味のある方はぜひご覧になってください。

(2020.1.24[Fri]記載)


第147回(2019年11月21日)

■テーマ:「団地の未来について考える」〜出口戦略とその先にある未来〜
■講師: 細貝俊夫(ほそがい としお)さん(エステート聖ヶ丘-3団地管理組合)

細貝さんはIT関連の仕事に長く従事されていましたが、早期退職後は理事長をはじめ各種委員会などの管理組合の役員や地域のボランティア活動に長年携わっておられます。エステ−ト聖ヶ丘3の管理組合活動は先進的で、住民相互の助け合い活動「おてつだい・エブリー」などユニークな取り組みもあります。またホームページは細貝さんのお手のものですが、大変充実した内容で、他の管理組合でも参考になると思います。一度、のぞいてみてください。

今回のお話は、エステート聖ヶ丘-3管理組合の未来委員会という委員会のもとに研究されてきた内容ですが、未来委員会が発足するきっかけとなったのは、輪番制の役員選定の過程でどうしてもやりたくない、役員をやるなら転居するという居住者がいて、実際に転居された方が2年連続して発生し、これは何とかしなければということだったそうです。

細貝さんの団地も、多摩ニュータウンの多くの団地型分譲集合住宅の抱える問題に直面しています。それは居住者の高齢化と子供世代の独立や転出に伴う人口減少という現象面だけでなく、管理組合の運営における担い手の不足や管理意識の希薄化といった問題に顕著です。そして多くの居住者は自分の所有物である専用部分に意識が集中し、共有部分を共同で管理するという意識が希薄で、自身の所有権との利害の衝突で合意形成を難しくしている。そういう中で細貝さんは、区分所有という分譲マンションの所有形態に根源的な問題をはらんでいるのではないかという問題意識を持つようになったといいます。

この区分所有の問題から抜け出すにはどうすればいいのかということを考え始めているときに、多摩市マンション管理セミナーで、先進的で独創的なマンション管理を実践されている京都西京極大門ハイツの佐藤芳雄理事長の講演に触発され、今回お話を聞く「出口戦略」の試案を作成されたとのことです。ほかにも、区分所有に問題意識を持つ明海大学の小杉学氏の区分所有の解消に関わる提案やマンション建て替えを専門とする山田尚之氏のに区分所有関係の解消制度を含むマンション再生に関する制度見直しの提案なども参考になったようです。

細貝さんは、試案をまとめるにあたり、世界各国の分譲マンションの所有、管理制度も調べておられます。中でも英国の分譲マンション「フラット」における長期賃借権によるリースホールド、米国の集合住宅の入居者で構成するアパートメント・コーポレーション(住宅協同組合)が資産を所有するというコーポラティブ方式は参考になったそうです。

細貝さんの考える、区分所有の洞窟からの出口戦略のプロセスの要点とは

@まず第1歩として、管理組合を法人化し、所有権を買い取ることのできる体制にする。
A売却希望者があれば、管理組合法人が購入し区分所有権を回収する。
B入居希望者があれば、管理組合法人が取得した物件をの長期居住権利を売却し、購入希望者とリースホールド契約を締結する。
➃永住希望者に対しては、区分所有権をリースホールド権に変換してもらうよう促す。
Dすべての所有権の権利変換ができた段階で、区分所有法に基づく管理組合法人は解散し、住民による運営主体(コーポラティブ方式)へ移行する。

個々のプロセスにおける様々な課題や法的な問題にもも言及しつつ、どうすれば試案が成り立つのかという考察もされています。紙面の都合でこの内容まで詳しく紹介することができないのは残念です。

細貝さん、大変貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

(2019.11.25[Mon]記載)


第146回(2019年9月26日)

■テーマ:「 災害からの回復力のあるコミュニティをつくる—多摩地域でのアクションリサーチから—」
■講師: 市古太郎(いちこ たろう)さん(首都大学東京 都市政策科学科 教授)

市古先生は首都大学東京災害復興・都市防災研究室で,気仙沼階上地区での住宅移転+集落生業現地再建の支援活動を「寄り添うプランニング」として実践されてきました。今回のお話は、東北や熊本支援で見えてきた教訓を踏まえ「回復力のあるコミュニティをつくる」という視点から八王子市上柚木地域青少年育成会での学校-地域防災活動,および絹ヶ丘一丁目町会でのアクションリサーチと、そこから考える首都直下地震、多摩内陸地震へのそなえというお話でした。

市古先生の実践活動を紹介するときの重要な概念として「事前復興」と「リジリエンシー」があります。これらを理解するために、雑誌等に先生の寄稿されたものから独断で概要を紹介します。『リジリエンシーとは「すみやかにしなやかに回復する能力」を意味する。リジリエンシーが復興の重要概念となったのは、発災後の「しなやかな回復」プロセスに加え、発災前に培われた回復力を視野に入れた、事前と事後をつなぐ理論としてである。コロラド州立大学のKathleenTierneyによると、発災前までに培われる人々の被害回避・回復能力と発災後の状況機会に応じた回復力は通底するという。事前復興とは、リジリエントな(回復力のある)コミュニティをつくることといえる。 』

南大沢上柚木地区は多摩ニュータウンの中にあり、集合住宅が中心の地域で自治会は未組織で団地管理組合が防災訓練を実施している程度、一方絹ヶ丘地区は1970年代後半に造成された民間の戸建て住宅団地で、自治会活動も活発に行われている地区です。

上柚木地区では東日本大震災までは地域としての防災活動は特になかったそうですが、震災時には20%の家庭で家族が帰宅できないという事態になり、女性と老人と子供ばかりになったため、PTAを中心に地域防災訓練を実施するようになったということです。その後、ある防災セミナーで市古先生の話を聞いた方との交流から、実技中心の防災訓練から、グループトークなどによる頭上訓練を行うこなうようになり、様々な問題や課題を共有できるようになってきた。そういう過程で、お父さんを巻き込んだ防災訓練や中学生との連携などへと活動が広がっているということです。

また、絹ヶ丘地区は長年、熱心に防災訓練にも取り組んできていましたが、「防災マニュアルを」という理事会の問題意識から首都大学との連駅が始まり、フィールドワークやグループトークを繰り返しまち点検も実施しています。その後のグループトークのテーマとして、「安否確認をした後どうするか?」「高齢者など、在宅での自主避難者に対するサポートは」といった話し合いもしているということです。

市古先生から、アクションリサーチを通じての多摩地域の防災のキーワードして3つのポイントが提起されました。

一.都区部とは地震被害の姿が異なってくる。区部では倒壊・火災が主となるが、多摩地域ではそれらのほかに、造成地における残存緑地の土砂災害や帰宅困難者が多く発生することからくる生活不安への備えが必要となる。

二.都区部を主体とした防災都市づくりを基本としつつも、それと異なるソリューションが求められる。生活回復を主テーとした「事前生活再建ワークショップ」また、「ハザード地地域における立地制限を考慮した土地利用計画」など。

三.郊外住宅地としての困難さと同時に利点を生かす工夫。一斉分譲・同時入居に伴う超高齢化や単身高齢者世帯の増加、単一な地域コミュニティ。空き部屋、空き地、空地の存在と活用など。

質疑応答の時間では、地域と公共との役割分担、避難所の運営、単身高齢者の問題、 大規模造成地の不安などの身近な問題意識から、さらには戸建て住宅団地での安全な場所への住み替えのニーズとか、基盤の整った地震に強い多摩ニュータウンは都区部からの避難者の受け入れも考えなければいけないといった様々な意見交換ができました。いろいろな方との意見交換や情報交換を通じて、防災に関する知識や問題意識が深まってくることを実感できたサロンでした。

市古先生、大変お忙しい中を貴重なお話を聞かせていただき、また、始前の時間には、直前に視察にいかれた伊豆大島の台風15号による被害実態の現地写真や話も聞かせていただき、ありがとうございました。

(2019.9.30[Mon]記載)


第145回(2019年7月18日)

■テーマ:「近年の公共建築の傾向:庁舎建築」
■講師: 河田 健(かわた たけし )さん(株式会社佐藤総合計画 東京第1オフィス第1設計室 プロジェクトリーダー)

 河田さんは兵庫県伊丹市の生まれで大学卒業後佐藤総合計画大阪事務所に勤務。3年目に阪神淡路大震災に遭遇されます。その後東京勤務を経て2011年に仙台転勤、その年に東日本大震災に遭遇と、大きな地震を2度も体験されています。運よく2度とも直接的な被災はなかったとのことですが、なかなか普通の人ではめぐり合うことのない体験をされています。

 佐藤総合計画は早稲田大学の教授であった佐藤武夫氏が設立されたアトリエ事務所から出発しており、戦後の庁舎建築をはじめとした公共建築を多く手掛けてきていることから今でも公共建築が主流だということです。佐藤武夫氏の「建築は万人のものである。作者の強い個性を主張しすぎることのないよう、むしろ控えめに、風土や市民の演ずる舞台の引き立て役であるべき」という考え方が、いまでも会社のDNAとして引き継がれているのだそうです。自己主張が強い建築界のなかで、とても共感できるいい言葉ですね。

 佐藤武夫氏の代表作は早稲田の大隈講堂が有名ですが、佐藤総合計画としては東京ビックサイト、多摩市内では多摩市立第二小学校、聖蹟桜ヶ丘のヴィータなどがあります。

 河田さんご自身も公共建築を中心に手掛けれており、主なものに、東京ビックサイト南展示場、ナショナルトレーニングセンター、山口県の維新百年記念公園陸上競技場などの体育施設、秋田県鹿角市のコモッセ鹿角(図書館、ホール、子育て支援施設)、ルミエール府中(府中市中央図書館)など文教施設があります。

 庁舎建築はまちづくりと深い関係がありますが、最近の庁舎建築の大きな変化はICT技術の進歩だそうです。(ICTとはInformation and Communication Technology(情報通信技術)の略で、通信技術を活用したコミュニケーションを指します。情報処理だけではなく、インターネットのような通信技術を利用した産業やサービスなどの総称です。)

 これまでの庁舎は、窓口の長いカウンターと長椅子の待合スペースが定番ですが、インターネットやコンビニでも手続きはできるようになり、窓口では発券機と書類の発行だけで済むようになります。そうなると長いカウンターや待合スペースは縮小していきます。
 一方相談事は増えてくる傾向にあり職員はカウンターから外に出て、市民に直接説明することが増えてくるだろうということです。

 福島県の須賀川市庁舎、会津若松市庁舎、佐賀県武雄市庁舎など、写真を見せていただきながら実際の事例を教えていたきました。閉庁後にはオフィス部分とのセキュリティーを分離することで、ロビー空間は市民に開放でき、机やいすもいつでも利用できるようにすることができるようになります。高校生や中学生が学習に使ったり、市民活動の場として利用したりといろいろな使い方ができそうです。

 習志野新庁舎はグッドデザイン賞も受賞されていますが、地形の高低差を生かした緩やかな勾配の大階段や庁舎を巡るロビー空間などを設け、様々なイベントやコンサートなどにも活用されているということです。市庁舎は習志野高校の跡地に建設され、市民に親しまれていた元のグラウンドは駐車場と一体的な広場として残し、その空間を使ったお祭りなども催されているようです。

 小金井市庁舎はまだ基本設計の段階だそうですが、福祉会館と併設される市庁舎のロビー空間は市民に開放される空間として検討されているそうです。
栃木県下野市庁舎、青梅市庁舎などの事例も紹介していただきました。

 丸亀市庁舎では、丸亀城と中心市街地、丸亀港を結ぶ軸線上で、人口減少に悩む地方都市の中心市街地のまちづくりに市庁舎と市民活動交流センターをどう生かしていくかという提案をされています。

 多摩市でも市庁舎の建替えが議論されており、市民活動との一体化やICT化という流れの中で庁舎の建築も考えてほしいという河田さんの要望でした。

 河田さんは多摩中央図書館の設計にも携わっておられますが、市民ワークショップや説明会に参加された方からは、立地条件をとてもうまく処理されて市民のコミュニティがうまく回っていくように思うという感想もありました。ICT化という流れは図書館でも生かされていくものと思いますが、私たち市民も、せっかくできる新しい図書館やパルテノン多摩、中央公園などの公共資源を上手に使いこなしていく責務もあるのだと、改めて認識しました。

2019.7.21[Sun]記載)


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