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2019年11月分

第147回(2019年11月21日)

■テーマ:「団地の未来について考える」〜出口戦略とその先にある未来〜
■講師: 細貝俊夫(ほそがい としお)さん(エステート聖ヶ丘-3団地管理組合)

細貝さんはIT関連の仕事に長く従事されていましたが、早期退職後は理事長をはじめ各種委員会などの管理組合の役員や地域のボランティア活動に長年携わっておられます。エステ−ト聖ヶ丘3の管理組合活動は先進的で、住民相互の助け合い活動「おてつだい・エブリー」などユニークな取り組みもあります。またホームページは細貝さんのお手のものですが、大変充実した内容で、他の管理組合でも参考になると思います。一度、のぞいてみてください。

今回のお話は、エステート聖ヶ丘-3管理組合の未来委員会という委員会のもとに研究されてきた内容ですが、未来委員会が発足するきっかけとなったのは、輪番制の役員選定の過程でどうしてもやりたくない、役員をやるなら転居するという居住者がいて、実際に転居された方が2年連続して発生し、これは何とかしなければということだったそうです。

細貝さんの団地も、多摩ニュータウンの多くの団地型分譲集合住宅の抱える問題に直面しています。それは居住者の高齢化と子供世代の独立や転出に伴う人口減少という現象面だけでなく、管理組合の運営における担い手の不足や管理意識の希薄化といった問題に顕著です。そして多くの居住者は自分の所有物である専用部分に意識が集中し、共有部分を共同で管理するという意識が希薄で、自身の所有権との利害の衝突で合意形成を難しくしている。そういう中で細貝さんは、区分所有という分譲マンションの所有形態に根源的な問題をはらんでいるのではないかという問題意識を持つようになったといいます。

この区分所有の問題から抜け出すにはどうすればいいのかということを考え始めているときに、多摩市マンション管理セミナーで、先進的で独創的なマンション管理を実践されている京都西京極大門ハイツの佐藤芳雄理事長の講演に触発され、今回お話を聞く「出口戦略」の試案を作成されたとのことです。ほかにも、区分所有に問題意識を持つ明海大学の小杉学氏の区分所有の解消に関わる提案やマンション建て替えを専門とする山田尚之氏のに区分所有関係の解消制度を含むマンション再生に関する制度見直しの提案なども参考になったようです。

細貝さんは、試案をまとめるにあたり、世界各国の分譲マンションの所有、管理制度も調べておられます。中でも英国の分譲マンション「フラット」における長期賃借権によるリースホールド、米国の集合住宅の入居者で構成するアパートメント・コーポレーション(住宅協同組合)が資産を所有するというコーポラティブ方式は参考になったそうです。

細貝さんの考える、区分所有の洞窟からの出口戦略のプロセスの要点とは

@まず第1歩として、管理組合を法人化し、所有権を買い取ることのできる体制にする。
A売却希望者があれば、管理組合法人が購入し区分所有権を回収する。
B入居希望者があれば、管理組合法人が取得した物件をの長期居住権利を売却し、購入希望者とリースホールド契約を締結する。
➃永住希望者に対しては、区分所有権をリースホールド権に変換してもらうよう促す。
Dすべての所有権の権利変換ができた段階で、区分所有法に基づく管理組合法人は解散し、住民による運営主体(コーポラティブ方式)へ移行する。

個々のプロセスにおける様々な課題や法的な問題にもも言及しつつ、どうすれば試案が成り立つのかという考察もされています。紙面の都合でこの内容まで詳しく紹介することができないのは残念です。

細貝さん、大変貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

(2019.11.25[Mon]記載)


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