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2018年05月分

第138回(2018年5月17日)

■テーマ: 「 住宅等の省エネ対策やリノベーションについて 」
■講 師: 金子勲(かねこいさお)さん( 金子勲一級建築士事務所、たま・まちせん会員)

 今回はたま・まちせんの会員でもある金子勲さんに、戸建て住宅を中心にパッシブハウスやリノベーションについて、ご自身の設計された建物事例を紹介していただきながらお話していただきました。大学卒業後、商業建築の仕事から住宅設計の会社へ転職されたのが土屋ホームで、ご存知のスキージャンプのレジェンド葛西紀明さんが後輩になるそうです。葛西選手とのツーショット写真を、自慢のタネだと見せていただきました。

 その後建築舎という会社に移られて、ここでパッシブハウスとの出会いがありました。パッシブハウスというのは1991年にドイツのパッシブハウス研究所によって確立された、各国の基準より厳しい省エネ住宅スタンダードです。建物の性能を上げる事により、高性能の熱交換器による空調設備だけで、アクティブ(能動的)な冷暖房器具が不要であるという意味合いから『パッシブ(passive:受身の)』の名が付けられました。強制的な空調ではなく、より自然な空調システムということですね。断熱性能、隙間の基準、エネルギー使用量等の厳しい数値基準が定められ、これに合致する住宅がパッシブハウスとして認定されます。

 金子さんが手がけられた事例として横浜パッシブハウス(近藤邸)をご紹介していただきました。日経ホームビルダー(2011.01)に紹介されているそうです。ドイツ基準、超高気密、高断熱、長期優良住宅、太陽光発電4.2K、雨水利用、壁面緑化、オール電化と思いつくものすべてやったということです。施主の近藤さんも来ておられて、太陽光発電の効果、夏冬の快適な室内環境など、住み手の実感をお話されていましたが、大変満足されている様子がよくわかりました。使用している熱交換器が、大変すぐれものだそうで、リノベにもよく使われているそうです。ちなみにドイツ製のVENTOsan(ヴェントサン)だそうです。

 次に紹介していただいたのは国内初のアメリカ式のパッシブハウスです。ドイツは高温多湿、冬低温多湿日本の太平洋岸は夏は超高温多湿、冬は低温乾燥で、ドイツより米国東海岸と日本の太平洋岸が気候が似ているのだそうです。日本では夏の除湿と壁内結露防止、冬の日射取得、加湿が重要で、米国基準の方が日本に合っているということです。パッシブハウスの様々な工夫や設備について、豊富な写真を使ってお話していただきましたが、なかでも興味をひかれたのは、夏は結露させて除湿する冷暖房用パネルヒータで、金子さんは使っている設備の中でも快適さは優れていると評価されています。アメリカのコンペティションでも賞を取得し、日経ホームビルダー(2014.10)に取り上げられているそうです。

 そのほかに手掛けられている事例として進行中のもの、少し風変わりな事例などを紹介していただきました。詳細にご紹介できないのが残念です。金子さんは断熱にこだわった仕事をされていますが、高断熱高気密の断熱改修はお客さんに喜ばれるんだと言っておられます。東京オリンピックに向けてオリンピック基準(世界基準)のパッシブハウスを目指すという目標を掲げてやっていると自らの仕事に自負を持って取り組んでおられる様子がよく伝わってきました。

 金子さん、貴重な写真やデータを含め面白いお話をありがとうございました。

(2018.5.23[Wed]記載)


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