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2014年03月分

第98回(2014年3月20日)

■テーマ:中層階段室住宅のバリアフリー化 〜建て替えなくてもできる団地再生へ〜
■講師:小畑晴治さん(建築技術支援協会理事、明海大学不動産学部非常勤講師)

 中層階段室型住宅は全国に100万戸以上現存するそうですが、多摩ニュータウンでも5階建の住宅の多くは階段室住宅です。多摩ニュータウンでは、現存する中層階段室型は築20年以上のものが多く、居住者も高齢化していますので、中層階段室住宅へのエレベーター設置は関心が高いテーマです。

 講師は小畑さんに加えて、研究の母体となった建築技術支援協会から構造担当の丸山さん、積算担当の濱中さんがそれぞれ担当分野を説明されました。ある管理組合から建築技術支援協会への依頼が研究のきっかけとなったということで、実施を前提に構造的な検証、工事工程を具体的に想定した積算など細かな検討がなされています。

 多くの人の関心があるのはエレベーター設置のコストだと思いますが、研究の結果明らかになったことは、エレベーター本体の設置費用は数百万円と全体の一部に過ぎず、エレベーター撤去に伴う仮設階段の設置費用、建築基準法や消防法などへの対応、維持管理費用なども加わり、1棟(30戸程度)で5千万円前後要することが分かったそうです。

 工事費を削減し工期を短縮するために、階段室を撤去せずに今の踊り場に直接エレベーターを付ける方法もありますが、それでは踊り場から各階へ数段の階段が残り完全なバリアフリーにはなりません。テーマに対する事前の期待が高かったため、正直なところ残念な気持ちがありましたが、改めてコストの壁は相当高いことも再認識されました。

 一方、小畑さんのURの建替え事業の経験から、建物の解体時に躯体の劣化はほとんど見られなかったということからも、構造躯体の耐用年数は100年以上あるという専門家の評価は信じてもよさそうです。

 これからのストック社会において、躯体の寿命が十分あり、居住性にも優れる階段室型住宅にたいして、「エレベーター設置を通じて団地再生を実現する」というテーマを、外断熱などの「省エネ改修」とともにまちせんとの取組みの柱の一つとして、引き続き情報収集や実現に向けた研究(例えばバルコニー側の南に付ける)にも取り組んでいきたいと思っています。(H.T記)

(2014.3.31[Mon]記載)


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