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木曜サロン

記録・報告

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2011年09月分

第70回(2011年9月22日)

【テーマ】東日本大震災:避難所となった学校とその地域社会に対して果たした役割
【講 師】上野淳 氏(首都大学東京 副学長・大学院教授)

 9月の木曜サロンは首都大学東京副学長・大学院教授の上野淳先生をお迎えし、「避難所となった学校とその地域社会に対して果たした役割」というテーマでお話していただきました。
 上野先生は、首都大学東京の先生や学生さんたちとともに、5月から、避難所となっていた学校の現地調査を行ってこられました。今回は、東日本大震災後、4月からまちせんで始めた「東日本大震災緊急研究会」シリーズの第4弾も兼ねてご登壇いただきました。

 当日詳しくお話いただいたのは、南三陸町(志津川中学校)、陸前高田市(第一中学校)で、ほとんどのページを全面現地写真をベースにしたPPTでのお話に、先生の「伝える」ことへの強い思いを感じました。
 定期的に現地を訪れて撮影された写真を見ると、改めて、両市町ともに着実に瓦礫の撤去は進み、また、両中学校ともに震災直後の地域における応急避難所から現在は教育の場としての機能が戻りつつあることがよくわかります。しかし、お話にもありましたが、瓦礫の撤去=復興ではなく、さらに、人の営みのない街の中で子どもたちが安心して過ごし学び、成長する「学校」を日々続けていくことの難しさを感じました。

 厳しい避難の状況もうかがいながら、当日の先生からのメッセージとして「学校は非常に優れたコミュニティ・シェルターである」「秩序ある避難所生活の背景には、教員たちの沈着冷静な判断と、献身的な統率力があった」を大きく受け止めました。
 前者については、学校施設の防災機能の確保の重要性について、上野先生も委員として参加されている文部科学省「東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備に関する検討会」の緊急提言(2011.7)の中にも盛り込まれているようです。
 後者については、自身が被災者でもある教員が、避難所と言う場で果たした大きな役割とその重さは計り知れないものがあります。多摩市も学校だけではなく、様々な施設が避難場所として指定されていますが、災害時のリーダーシップを誰が取るのかが避難所運営の鍵を握ることを改めて認識しました。

 この他、阪神・淡路大震災の折にも現地に入られ調査された結果を「阪神・淡路大震災における避難所の研究」(大阪大学出版部:上野淳他1989.01)としてまとめられましたが、それが広く活かされず、同じ状態が繰り返されていることが残念であること、一方、被災者のモラルの高さなどのお話もうかがいました。

 上野先生、貴重なお話をありがとうございました。これからも5年、10年と長い道のりですが、今後も調査等で現地と関わって行かれる上野先生には、また、機会がありましたらお話を伺えれば有難いです。宜しくお願いいたします。

(2011.9.30[Fri]記載)


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