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2022年07月分
■テーマ:「団地プロデュース型コミュニティ再生計画について 〜愛宕と松が谷でのコミュニティ形成と団地再生モデルの構築へ〜」 ■講師: 渥美京子(あつみ きょうこ)さん(一般社団法人コミュニティネットワーク協会理事長)
渥美さんは専門誌の編集者や週刊誌記者などを経て、食や暮らしをテーマにノンフィクションライターとして活動されてきました。東日本大震災のあと福島の女性支援にかかわったことがきっかけで、一般社団法人コミュニティネットワーク協会へ、2019年から代表理事を務めておられます。
コミュニティネットワーク協会は、阪神淡路大震災の被災者支援をきっかけに1999年に設立され、様々な社会課題の解決を目指し、共生型のコミュニティの創生、安心して暮らし続けられる地域づくりを使命として活動されています。
過疎地の再生と大都市部のコミュニティづくりを事業の両輪として、これまでに手掛けられてきた事業をいくつかご紹介していただきました。
シニアのための住まいとコミュニティづくりを目的とした栃木県の「ゆいまーる那須」、さらにこれをきっかけに国の地方創生モデル事業を全国9自治体において支援。多摩市では「ゆいまーる中沢」、「ゆいまーる聖ヶ丘」の企画・マーケティング・入居者募集などを手がけられています。
「ゆいまーる高島平」は地域住民との参加型学習会を重ね、ニーズを具現化するために団地内に点在する空き室を利用した安心住まいづくりとして、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と1階商店街の空き店舗でフロントと交流スペースを企画提案されています。 愛知県住宅供給公社の大曾根住宅(名古屋市)では、スーパー撤退後の空き店舗を活用した、子どもから障がい者、高齢者が共生する交流拠点を創出されていますが、住民・学者・専門家・事業者などで構成した「大曽根研究会」をベースに「大曽根で暮らし続けるしくみをつくる会」を立ち上げ、ニーズヒアリング、自治会と1年かけて信頼関係構築を進めてこられたそうです。これが松が谷のプロジェクトにもつながっているということです。
豊島区で2019年から手がけられている「空き家を活用した『としま福祉支援プロジェクト』」(国交省2019年度「住まい環境整備モデル事業」)は、空き家を活用したセーフティネット住宅と居住支援のしくみづくりが特徴です。セーフティネット専用住宅は、いろいろなニーズに対応できるようシェアハウス4室(共生ハウス西池袋)、ワンルーム6室(共生ハウス池袋2丁目)を用意し、住宅要配慮者に限定して貸しているそうです。池袋駅前には共生型の交流拠点「共生サロン南池袋」を、DIYやクラウドファウンディングなどにより最低限の費用で開設されています。共生サロン南池袋の働き手はセーフティネット住宅の居住者、障害者、生きづらさを抱える若者などであり、社会的弱者が社会的弱者を支える仕組みだといえます。
共生サロンの収支は、自主事業、介護保険事業、障害者事業の3つを組み合わせて、家賃・人件費・一般管理費などの支出をカバーできる仕組みがつくられています。 ・自主事業=健康麻雀、卓球事業 ・介護保険事業(総合事業通所型サービスB〜麻雀サロン、将棋サロン、他) ・障害者事業(就労継続支援B型事業所〜2つ目の交流拠点〜雑司ヶ谷) この収支のしくみを松が谷プロジェクトでも生かしていくというこです。
松が谷の取組は「参加型コミュニティづくり」の実践ということであり、地域の住民の主体的な参加で拠点を作り、コミュティの輪を広げていこうというプロジェクトです。JKK(東京都住宅供給公社)所有の300坪のスーパー跡の空き店舗を交流拠点として再生するための公募に事業者として選考されました。同時に国交省の「住まい環境整備モデル事業」にも選定され、事業がスタートしました。国交省のモデル事業では、松が谷における社会実験の成果を多摩市域の愛宕地区で展開し、さらに地域のコミュニティ再生を担う人材育成のための「団地プロデューサー養成講座」も立ち上げられています。
2020年8月から、行政やキーとなる地域団体へのアプローチ、2021年2月から自治会や住民組織へのアプローチを行い、徐々にプロジェクトの浸透を図っていったということです。2021年3月14日に行われた第1回の住民説明会は、”ともに課題の解決を目指していきましょう”ということから、あえて白紙で臨んだそうですが、住民からは厳しい反発もあったようです。会を重ねるごとに、何とかしたいという当事者意識を持つ住民が集まってきて、事業が進んできたということです。
2021年3月から2022年6月にかけての毎月の住民参加型学習会では、子供や学生も含め多世代の方が30〜40名参加されたということです。その中で、健康マージャンやヨガ教室、料理教室をやってみたいという方たちも現れてきました。またスーパー跡の軒先を使った「英語によるコミュニケーション教室」や「焼き菓子販売のマルシェ」などの活動や、住民の自主的な地域産の竹を使った本棚づくりなどが行われてきました。
スーパー跡の建物の改修工事も建築の産直を目指して、神戸の大工集団Teamクラプトンの協力で、近隣の学生や子供、高齢者、障害者も参加し住民参加型のDIT(Do It Together)で行われました。
7月17日にオープニングイベントが開催されましたが、これの実行委員は大学生と地域住民のみなさんが担い、pr活動、出演者交渉などすべてを担ってこれたそうです。地場野菜の販売、商店街の肉・魚の販売、料理教室、コミュカフェ、学習塾によるアフタースクール、オリパラ元日本代表監督による卓球場、健康マージャンなどにぎやかに開催されたそうです。
松が谷では豊島の実践例を踏まえた持続可能な事業の取組が行われようとしています。自主授業で損益を成り立たせ、就労継続支援B型事業と会員制のデイサービス(介護保険を使わないデイサービス)を組み合わせるというものです。
本サロンの翌々日、7月23日に「共生型交流拠点in松が谷商店街 ”コミュニティプレイスまつまる”」がオープンしました。いよいよ本格始動です。早速出かけてみましたが、地域の皆さんがたくさん集まっておられ、各お店や事業者さんも生き生きと仕事されていました。
すでに、第2弾の愛宕プロジェクトも始まっています。愛宕第2住宅の旧みずほATMの空きスペースを賃貸し、週2回の店頭相談、市や公社も参加した住民参加型の学習会も行われています。
さらに、今後の展開として、愛宕で成功モデルをつくり、他地区に展開し、若い世代の居住や働く場を作り、介護の必要な方々への対策を充実すること。そのために山王下の22,000uの都有地を活用した拠点を作るなどの構想を持っておられるということです。
(2022.7.27[Wed]記載)
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