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2022年01月分

第158回(2022年1月20日)

■ テーマ:「 どうして’’けぇどの会所’’をつくろうと思ったのか?」〜私がまちづくりの活動から学んだこと〜
■講師: 小林攻洋 (こばやし こうよう)さん(元稲城市職員、NPO法人市民サポートセンターい なぎ理事、コレクティブハウス聖蹟大家)

小林さんは多摩市関戸在住で、1973年に稲城市役所に入庁し、広報公聴、生涯学習、福祉、企画などに携わってこられましたが、在勤中から市民によるまちづくり活動グループの設立や運営に関わり、退職後も様々な活動に精力的に取り組んでこられました。
また、ご自身の土地を活用して、2009年に大栗川沿いにコレクティブハウス聖蹟、2020年に旧鎌倉街道沿いの行幸橋交差点そばに出会いと集いの場所「けぇどの会所」・「けぇどの長屋」(賃貸住宅6室)を開所しました。
「けぇどの会所」・「けぇどの長屋」は旧鎌倉街道沿いの約750uの敷地に建ち、「けぇどの会所」内はギャラリー、茶の間、キッチンなどで構成され、北側には気持ちの良い「木漏れ日デッキ」、道路沿いには「桜のひろば」があります。
今回は「けぇどの会所」にかける思いとそこに至るまでに小林さんが関わってこられた様々なまちづくり活動についてお話いただきました。

まずは、「けぇどの会所」にかける思い・・・
キャッチフレーズは、〜ヒト、モノ、コトが出会い、日常の暮らしをちょっぴり豊かに〜で4つの柱からなっています。
●建物の名称がなぜ「会所」なのか?
「けぇど」とは、昔「街道」のことを「けぇど」と言い、小林家の代々の屋号にもなっているそうです。また、「会所」は鎌倉時代には身分の上下に関わらず人が集って連歌、茶会などを楽しむ文化的空間であり、さらに江戸時代には町の共有空間としてまちの拠点の役割を果たしていたそうです。文化的空間であり、まちづくりの拠点として、現代の「会所」を目指す思いがこのネーミングに込められています。
●まちの縁側になってほしい!
キャッチフレーズにもあるように「ヒト、モノ、コトが出会う」場として、昔身近にあった「縁側」を目指していています。このコンセプトは小林さんが敬愛する、まち育ての研究・実践者として活躍された故遠藤安弘氏が提唱された取り組みでこれに触発されたとのことです。
●みんなで育てていく空間であってほしい!
大家の小林家が運営するのではなく、集う人がみんなでこの空間を魅力的なものにしてほしい、一緒に汗を流して育ててほしいという思い、これが具体的な運営コンセプトの重要なポイントにもなっています。
●会所を楽しみ尽くすために「連」のような仲間がほしい!
「連」とは江戸時代は俳諧を楽しむ「サロン」のような集まりで知られていますが、調べてみるとこれも「庶民や武士など身分を超えて集まる組織」だったそうです。小林さんからも、今あるのは地域の「神輿連」のように「対等な仲間同士がつきあうグループ」と説明がありました。この思いも現代版「連」として会所の運営を支えるメンバーシップの会としてスタートしているそうです。

会所の運営については、コロナの影響もあり本格スタートが遅れたそうですが、コーディネートチーム、メンバーシップの会を中心にした運営体制も整い、趣旨に共感する方への「茶の間」(ワークショップや勉強会など)やキッチン(仲間内での食事会、小商い用のキッチン使用など)などの貸し出しや様々なプロデュースイベント(ギャラリーでの展示・販売、エコマーケットなど)が動き出しています。

さて、小林さんは様々なまちづくり活動に関わってこられましたが、これらの活動での体験が「けぇどの会所」開設のヒントとなり、また最終的な結論であるとのことです。
今回は、まちづくりに目覚めるきっかけとなった『いなぎエコ・ミューゼ』の立ち上げ(1997年)、その後の『NPO法人市民活動サポートセンターいなぎ』、『NPO法人いなぎ里山グリーンワーク』、『コレクティブ・ハウス聖蹟』、そして、関戸地区の地縁活動として関わっている『まち育てネットワーク関戸・一ノ宮/小中学校行事、関戸楽園祭/自治会/サロン』について沢山の写真とともに紹介していただきました。
お話を通して、様々な年齢、立場の方々が関わる活動の様子、それぞれご苦労もあったと思いますが、何より小林さんご自身が楽しんで関わってこられたことが伝わってきました。また、これらのまちづくり活動の中でも、地縁活動(例えば祭りや接待所)でも、「食」が人をつなげるシーンとして重要であるという思いが「会所」の「茶の間」に活かされているようです。

土地を所有されている方には相続税など悩みや苦労もありますが、収益重視の「不動産活用」ではなく、「土地は先祖が残してくれたもの」「不動産を地域の中で活かして価値がある」「(コレクティブハウス聖蹟の例では)居住者が磨いて付加価値をつけてくれる」という言葉が大変印象的でした。
旧鎌倉街道沿いに立つ蔵風の建物、「あれは何だろう?」と気にしている方も多かったようですが、今回その謎も解け、「是非、行ってみたい!」「行きます!」という声も聞かれました。現在は、主に「金、土、日、月」オープンとのことですが、下記HPでギャラリーでの企画展示なども確認できます。
*「けぇどの会所」 https://www.kdonokaisho.com/

今回は、これまでの木曜サロンで聞く機会がなかった稲城市でのまちづくり活動も紹介していただきましたが、ここでは詳しく書くことができませんでしたので、現在の各活動のHPなどをご紹介させていただきます。

*いなぎエコ・ミューゼ:いなぎエコ・ミューゼへようこそ! http://pondoragon.com/
*NPO法人市民活動サポートセンターいなぎ:特定非営利活動法人 市民活動サポートセンターいなぎ https://i-inagi-support.org/
*NPO法人いなぎ里山グリーンワーク:NPO法人いなぎ里山グリーンワーク http://www.inagi-greenwork.com/
*コレクティブ・ハウス聖蹟:コレクティブハウス聖蹟
https://www.collectivehousing.jp/single-post/chseiseki_vacancy

2022.1.30[Sun]記載)


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