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2021年05月分

第154回(2021年5月20日)

■テーマ:「多摩ニュータウンに事務所を開設して3年間の活動とこれからの展望」
■講 師:横溝 惇(よこみぞ あつし)さん/スタジオメガネ主催

横溝さんは横浜国立大学大学院 を卒業後、飯田善彦建築工房を経て2017 年にご自身の設計事務所スタジオメガネ開設され、2018年から多摩ニュータウンの落合商店街に設計事務所を設けられました。
今回は「マチで過ごす」「マチに開く」「マチを活かす」「マチを動かす」という4つのキーワードをもとに話をしていただきました。

「マチで過ごす」
横溝さんのパートナーが多摩ニュータウンの出身で、たまたま落合商店街を散歩していたときに、中央に立派なケヤキ並木のある商店街に魅力を感じ、空き店舗のテナント募集の貼り紙を見て、この場所に設計事務所を置いたらどうなるかを想像し、期待感を抱いたのがきっかけだそうです。それまで勤められていた飯田善彦建築工房は横浜でブックカフェを併設した事務所で、そういう体験から”まちに開く”という意識を持っていたことが原動力になっていたのではと話されていました。

多摩ニュータウンの一般的なイメージにはいいイメージ、悪いイメージもあるが、視点を変えてみると逆のイメージにもなる。こういう視点を変えてみるという考え方でプロジェクトを進めているということです。

「緑が豊か」⇔「管理コスト」が膨大」、「公園がたくさん」⇔「使いこなせない」、「子育てしやすい」⇔「世代が固まる」、「高齢化が著しい」⇔「昼間の人口が増える」、「団地だらけ」⇔「安価に暮らせる」、「夜くらい」⇔「夜の娯楽の余剰がある」

「マチに開く」
パルテノン多摩での三浦展氏の講演を聞きに行ったことがきっかっけで、氏の助言を受けて 暗くさびしい退屈なニュータウンにスナック兼設計事務所を開き、夜の娯楽をつくる「建築スナック」を始められました。

鳩山ニュータウンなど、他のニュータウンのアーティストや建築の専門家などに来てもらい、ニュータウンの中で食事をしながら率直に語り合うという、一方通行ではない、新しいシンポジュウムの在り方を見つけることができたということです。

10回シリーズで、三浦氏の協力のもとに「世界の郊外展」を開催し、「ブラたまり」と称するマチ歩きや講演会、展示会、また、著名な建築家や研究者に来てもらい、食事をしながらニュータウンを語り合うという試みをやってこられました。その中で、一人のシェフが現れ、設計事務所だけでなく、夜の居酒屋、食事のできる場所に変換していくことになったそうです。

三浦氏によると、「これから必要なのは、女性が男性にサービスするばかりでなく、女性が楽しむ、子連れでも楽しめる、新しい夜の娯楽」という意味での「夜の娯楽」だそうです。

「マチを活かす」
「道路が細いならマチに合わせた消防車をつくればいい」という山本理顕氏の言葉を紹介し、ニュータウンについても視点を変えて想像してみるということを提案されます。

「都市を遊ぶ」「マチの中で遊ぶ」このの可能性の実践として、中央公園のオブジェやパルテノン多摩のパーゴラを使った遊び、また、「既存のマチを使ったイノーベーション」として、駐車場を使った「夜ヨガ」、永山商店街に白布を張り渡し、子供たちに絵をかいてもらうイベントなどを紹介していただきました。

「マチを動かす」
小規模で点在する、徒歩圏にある商店街の可能性に着目し、ニュータウンに生業を持つクリエイティブな人たちと組んで、「ニューマチヅクリシャ」という活動を始められています。その信念としてルイス・カーンの言葉を紹介しながら、大人たちが不通に働く姿を子供たちに見せながら、ニュータウンの使い方を考えてもらえるよう、それこそが持続可能なまちづくりにつなげていこうということだそうです。

その活動として、デザイナーユニットの”ミッケリミッケ”さんと組んで、豊ヶ丘商店街で行った、ガチャガチャを使ったランタンフェスティバル、インディペンデント・キュレータの青木彬さんとの協働で行った、空き店舗やマチのすき間空間を使ったギャラリー、イベントスペースなどの「たまのニューテンポ」、恵泉女子大学の澤登先生との協働で行った、豊ヶ丘商店街のポケットパークを活用した、園芸や都市農業、落ち葉コンポスト、どんぐりの染め物などの「ニュータウン・ファーマーズ」商店街のアーケードで土日の商店の休業の日に、個人の小さなお店をマルシェ型式で行う「ゴキンジョ・ショーテン」などを紹介していただきました。(それぞれ、大変興味深い内容ですが、一つ一つを詳しく紹介できず残念です。)

お話のまとめとして言われたのは、「視点の再発見と創造」という言葉でした。多面的な視点で、ニュータウンのなかに余白を見出し、そこを使って遊べる、いろいろな可能性が広がっていく。ご自身のスタジオメガネをモデルケースに、「オフィフ+食+イベント」のシェアできる場所を提供し、ニュータウンのなかの開かれた場所としたい。

最後に、「ソーシャリー・エンゲージ・アート」という概念をご紹介していただきました。これは”地域や社会が抱える課題に対してアーティストが様々な人をまきこみながら行われる活動”ということで、建築やマチの視点で、アーティストやデザイナーと一緒に様々な活動をやっていくことが目標で、その活動を建築の仕事にもフィードバックしていきたいとおっしゃっていました。

(2021.5.27[Thu]記載)


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