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2019年05月分

第144回(2019年5月16日)

■テーマ:「日本国内での食料支援と課題」
■講師:松本靖子(まつもとやすこ)さん(NPO法人シェア・マインド代表理事)

NPOシェア・マインドはフードバンク事業を通して食品ロスや貧困の問題に取り組んでおられます。松本さんがシェア・マインドを立ち上げようとされたきっかっけは、勤めていた会社でのある体験からだそうです。それは、ある現場労働者が会社を辞める時に身寄りもなく、行くところもないので、空いている寮にしばらく置いてあげることがでないかと会社に掛け合っても、取り上げてもらえなかった。空いている部屋もあり食事も余っているのに何もしてあげられないことに疑問を感じたことがあったそうです。

その後2015年にはNPOを立ち上げるために手探りで大手支援団体の見学やボランティアをやりながら11月にはNPOの設立認可を受けます。2016年フードバンクを開始、貧困問題は幼少期の過ごし方に原因があると子供たちへのかかわり方も考えるようになります。2017年には無料スーパーを開始、アパートから一軒家の空き家に拠点を移し、2018年からはあさめし食堂やワークショップなどを精力的に始めておられます。

日本の食品の廃棄量は年間646万t、これは都民が1年間に食べる量に匹敵、コメの年間生産量800万tと比べてもいかに大量に廃棄されているかがわかります。また、7人に一人が貧困という数字もあります。貧困の定義は所得の中央値の半分以下の人ということだそうです。中央値というのは対象となる人口の真ん中の人の所得(平均所得ではなく)で、年々中央値が低くなっているので貧困といわれる人の割合は見かけ上低下しているのだそうです。

フードバンクは、家庭や企業で余っている食品を預かり、食べ物を必要としている人に届ける活動で、困窮家庭、福祉施設、子ども食堂や地域サロンなどへ届けられます。シェア・マインドでは、賞味期限まで2か月以上の食品、未開封の食品、常温保存できる食品の寄付を受け付けています。フードバンクを多くの人に知ってもらい、食品ロスの問題を考えてもらうきっかけにもなるようにと無料スーパーも始められています。無料スーパーは名前の通りすべての食品がタダ、会場には募金箱が設置されているそうですが、運営資金については大きな問題で今のところ動けば動くほど赤字になるのが現状だということです。

あさめし食堂では地域の中でやむを得ず余ってしまった食材を使っておいしい料理を提供しています。毎週土曜日の9時から11時、大人も子供も300円、お手伝いしてくれる子供には無料で提供しています。

フードバンクの事業は資金源としては補助金、助成金、寄付金などがありますが、運営は厳しく、生ものや生鮮品を扱うのも難しく、関われる人材にも限りがあるというのが実情のようです。募金制による配布や格安での販売などができるようになれば多少の活動資金を得ることもできるが、寄付された食品を転売したり有価物と交換することには制約があるということです。これは日本でフードバンクを最初に始めた海外の大手NPO団体などと企業との覚書で転売や有価物との交換を禁止することにしたため、これが通例となっているのだそうです。

最近は、廃棄される食品を格安で販売する店やネットによる販売などをやっているサイトも多くみかけます。志を持って食品ロスに取り組んでいる資金源のないフードバンクがこのような制約を受けるというのはとても残念です。

松本さんの頭には、募金制マートとかレスキューパーティ、ロス食品の加工販売などのアイデアもあるようです。募金制マートはすでに首都大学東京の学園祭などで実施しているそうで、諏訪商店街のサマーセールでも出店していただこうと考えているところです。

あまり詳しくご紹介できませんでしたが、NPOシェア・マインドの活動内容は下記のwebサイトをご覧ください。
https://www.sharemindjp.com/

2019.5.19[Sun]記載)


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