■テーマ:「多摩市の地域包括ケアシステムとは 〜事例から多摩市の地域包括ケアを考える」 ■講 師:古川美賀(ふるかわ みか)さん(多摩市健康福祉部高齢支援課)
古川さんは、介護保険制度のできる前から在宅ケアを担当され、その後子育て支援の仕事をされてきています。27年4月からはご自身が保健士やケアマネジャーの資格もお持ちであり、その専門性を発揮すべく現在は高齢支援課の課長としてご活躍されています。
今回は、平成27年に大きく変わった介護保険制度の多摩市としての取り組みと、市内でも最も高齢化が顕著である初期入居地区の諏訪・永山地域でこれから直面していくであろう問題などについてのお話をしていただきました。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、多摩市の人口は平成22(2010)年の147,648人から、50年後の平成72(2060)年には100,606人と32%減少すると見込まれています。一方、65歳以上の高齢者は4割増と大幅に増加すると見込まれています。また、今後平成31年には75歳以上の後期高齢者が前期高齢者数を上回り、その後はますます増加していくと予想されます。この傾向は最も顕著に表れているのが初期入居の諏訪・永山地域であり、高齢者のみの世帯や高齢者の単独世帯数及び要介護認定者数のどれを見ても市内でも群を抜いており、単身高齢者に対する支援や認知症高齢者の見守りや支えあいが大きな課題となっています。
平成27年の介護保険制度の見直しは、今後急増する要介護・要支援者への介護費用の増大、介護施設や介護の担い手不足に対し、高齢者の体力や健康維持する介護予防や包括的な支援事業、市町村による地域支援事業などにより対応していこうとするものです。
地域包括ケアとは、「高齢者が要介護状態になっても、できる限り長く、住み慣れた地域や自宅で生活が続けられ、人生の最期まで自分らしく生きること」をかなえるため、医療や介護、福祉等の必要なサービスを利用しながら自立した生活を続けられるように地域ぐるみで支えるというもので、多摩市では
@地域包括支援センターを中心とした地域支援機能の強化 A在宅医療・介護の連携による在宅療養の推進 B認知症高齢者への支援 C虐待防止・権利擁護 D地域の見守り・支え合いネットワーク E介護予防・生活支援サービス F高齢者の社会参加・いきがいづくり
を行っているということです。
多摩市版の地域包括ケアを進めるため、永山モデルとして永山地区で先行的に機能の充実・強化を進めようとしています。この永山モデルの要点は、中部地域包括支援センターを地域に身近な永山商店街に移転し、住民や自治会、NPOなど市民活動団体とワークショップを行いながら、地域ニーズに即した永山地域包括ケアシステムを構築しようということです。
なかなか市民にはわかりにくい介護保険制度であり地域包括ケアの仕組みですが、短い時間の中で資料も用意していただき、少しは皆さんの理解の助けになったのではないでしょうか。古川さん、大変お忙しい中を時間をとって詳しいお話をしていただき、また田島係長にも来ていただきました。ありがとうございました。
多摩市では、「高齢者が地域で安心して暮らすためのまちぐるみ応援団〜安心して心豊かに暮らし続けるために〜」というテーマで地域ワークショップを開催しています。すでに終了した地区もありますが、これから開催される地区もありますので、参加されてみてはいかがでしょうか。
http://www.city.tama.lg.jp/kenkou/koureisha/023607.html
(2016.7.25[Mon]記載)
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