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2016年03月分

第120回(2016年3月17日)

■テーマ:「明日は今日よりきっとよくなる―誰もがそう思っていたあの時代」
■講師:長谷田一平(はせだいっぺい)さん (団地ジャーナリスト)

 長谷田さんは団地新聞『The KEY』、『NewKey』で40年近く公団住宅の様々な様子や生活を取材しつつけてこられた記者です。団地新聞が平成24年に廃刊となり、13万点にも及ぶ写真は、責任者として最後まで残っておられた長谷田さんが引き取られました。それらの写真を整理し記録として残すのが自らの使命だと、3年半を費やして328カットの写真を厳選し、「フォトアーカイブ 昭和の公団住宅」として出版されました。

 団地新聞『KEY』の創刊には電通出身の創業者である筒井建司郎氏の戦略や想いがあったようです。純粋な民間の新聞として、広告収入だけでクオリティの高い新聞を発行しようということです。新聞の大きさを一般紙の半分のタブロイド版とするというアイデアは日本初のものだったそうです。

 当時の公団住宅には比較的高所得者で、時代を牽引する住民が多く住んでいたことから、これらの住民をターゲットに、広告収入だけでクオリティの高い新聞を作ろうと電通らしい発想で発刊したところ見事に当たったんだそうです。広告主も名の売れた一流企業がそろっていたようです。創刊当時の新聞には、創業者の広い人脈を活かし、作家・檀一雄さん、女優・小暮実千代さん、作家・評論家・邱永漢さんなどそうそうたる方々がエッセーを書き、サトウサンペイさんが4コマ漫画を描くなど、本当に質の高い内容だったようです。

 「昭和の公団住宅」の写真の編集は大変なご苦労もあったようです。ご自身の写真のほかに他の記者さんの写真も膨大にあり、写真だけが残されていて、いつどこで撮ったものか記録がない中で、時期と場所を比定しながら、記録として残すべき価値の高いものを厳選していくという作業は想像しただけで気が遠くなりそうです。サロンでは、駆け足ながらそれらの写真の一部を見せていただきました。

 写真の選定は、「今では絶対に撮れないもの」「記者としてニュース価値が高い」「子どもの遊びの様子」「昭和の歴史をにじませる」などの選定基準を定めて、取組まれたそうです。団地に併設された公園・グランドでは草野球等の運動、集会所では囲碁・将棋、生け花や着付けなど幅広いサークル活動が住民同士の交流の場所となっていました。郊外のある団地では近くの牧場の馬を借りて乗馬クラブができたり、千葉のある団地ではフェンシング教室が行われていたことなどユニークな活動風景も紹介していただきました。昭和の時代を垣間見ることができる写真の紹介に、公団住宅での生活が長い参加者からは、懐かしさのあまり感激の声があがっていました。

 記者としての長谷田さんが公団住宅を取材してこられた歴史や公団住宅への想いを語っていただくとともに、今のUR都市機構への期待と励ましまでも語っておられました。「フォトアーカイブ 昭和の公団住宅」は、たま・まちせんの事務局にも販売用においてあります。また、Amazonでも入手可能ですので、どうぞ皆さんもお手元においてご覧になってください。

 長谷田さん、遠く鎌倉からから来ていただき、遅くまで懇親会にも参加していただき、ありがとうございました。

2016.3.26[Sat]記載)


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