■テーマ:「わたしの〔擬音語・擬態語〕たんけん 〜日本語は面白い〜」 ■講 師:後路好章(うしろよしあき)さん (多摩市鶴牧在住)
後路(うしろ)さんは言語学の専門家であり、絵本の出版社として有名なアリス館の編集長もされていた方で、ことばの面白さを子供に伝えるような絵本も多数出されています。いつもは子供連れのお母さんや保育士さんに話すことが多いそうですが、私たちが聞いてもとても楽しく、日本語の豊かさや面白さが感じられる内容でした。
まず擬音と擬音語は全く違うものという言語学の専門的な内容からはじまり、牛の鳴き声はどこでも「モー」、犬は、カエルは、ニワトリは、アヒルは・・・アメリカやスペイン、フランスのそれぞれの動物の鳴き声を描いた絵本を朗読していただきました。絵本を読むのは得意だということで、子供たちが聞くととても喜びそうな話でした。(『うしはどこでも「モ〜!」』(鈴木出版)。外国人作家の絵本を関西の落語家桂かい枝が関西弁で翻訳している面白い本です。)
次いで日本語の擬態語・擬音語を英語ではどう表現しているかという、面白い絵本を紹介していただきました。
「おひげがぴんぴん生えてます。」を英語では、「I have long strong whisker.」 「おはながぶらぶらゆれてます。」は「My trunk sway and swing this way and that.」 と訳しています。日本語の表現の豊かさがよくわかります。(『How Do You Do? はじめまして』鈴木出版 新沢としひこ作の絵本に英訳がついてます。)
英語や仏語は動詞に様々な表現があり、たとえば「笑う」という動詞でもlaugh,chuckle,sneer,smile,giggle,grin,guffaw,などなそ、つまり日本語の擬態語の表現が動詞に含まれているということだそうです。一方、日本語は音節が極端に少ない言語で、それを補っているのが擬音語・擬態語なんだということです。音節が少ないがために同音異義語が多く、おやじギャグのネタになっていて、おやじギャグは日本語の担い手でもあるというのが後路さんの評です。恥ずかしがらずに、日本語の担い手としておやじギャグを連発しましょう。
まだまだ、擬音語・擬態語の話は宮沢賢治の世界や三島由紀夫と井上ひさし、丸谷才一との対比、源氏物語、夏目漱石、さらには松谷みよ子の民話の世界へと広がっていきます。
後路さんの引き出しには、まだまだ話題がたくさんありそうです。後路さん、とても面白い話をありがとうございました。また機会があれば、ぜひ引き出しを開けてください。 いつもとは一味違った話題の木曜サロンでしたが、とても面白く、俳句に使われている擬音語。擬態語の穴埋め遊びなど参加全員とても楽しく遊べました。参加者がやや少なかったのが残念でした。これからも多摩ニュータウンにお住いの様々な分野の方たちの話を聞く機会も設けていきたいと思います。
(2016.2.20[Sat]記載)
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