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2015年05月分

第111回(2015年5月21日)

■テーマ:中国高速的経済発展と福祉現状からみたソーシャルワークによる地域支援活動と発展
■講 師:高 燕(こう えん)さん(中国浙江工商大学 准教授、首都大学東京 客員研究員)

 今月は、中国から首都大学東京に客員研究員として留学されている高燕(こう えん)さんに、急速な経済発展が続く中国の高齢者の生活実態と福祉施策の現状について、日本との比較を交えてお話をしていただきました。

 高さんは2004年に来日され、首都大学東京星研究室で修士、博士号を取得されていますが、今年の秋には帰国され、中国浙江工商大学で社会福祉やソーシャルワークの研究や専門家の育成に携わられるとのことで、帰国前に貴重なお話を聞くことができました。

 1978年に始まった改革・開放政策以降急速に経済が発展した中国では、沿岸部諸都市への大規模な人口移動をもたらし、都市と農村の格差や貧富の格差を生んでいます。また、ひところの一人っ子政策により核家族化が進行、子供のいなくなった家庭(空巣家族というのだそうです)や農村部の高齢化、地域力の低下などの社会問題も顕在化しています。このような社会情勢の中で、社会福祉のニーズが高まり、ソーシャルワーク(中国では”社会工作”というそうです。)という専門分野が認められるようになってきました。

 中国の高齢者介護は、大きく家族介護、養老院などの施設介護、社区(コミュニティ)による介護の3つに分けられるそうですが、一方では親の介護は憲法で義務とされているとのことで家族介護が中心になっています。

 一方で、都市部でのホテル並みの豪華な介護施設が存在しているなど、都市部のそれも経済的に恵まれた人たちが介護の上でも恩恵を受け、農村部や貧しい人にはなかなか福祉の手も届いていないのが現状のようです。

 中国の若者の就職先は経済活動中心の企業の人気が高く、福祉の部門の仕事につく人は少ないようですが、高さんは、帰国後は福祉の人材育成にご尽力されるそうです。

 高さんは大変日本語が堪能で、お話はユーモアにあふれジョークも交えながら、充実したひと時を過ごすことができました。高さん、ありがとうございました。また、九州大学の中国からの留学生も参加していただき、懇親会も大変盛り上がりました。政治的には日中は微妙な関係にありますが、市民のレベルで友好関係は若い人たちの相互理解を深め、きっと新しい時代を切り開いていく力になると思います。

(2015.5.27[Wed]記載)


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