多摩ニュータウン
多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議
 
E-mail


まちせんトップ

木曜サロン

記録・報告

%bnindex%...more

2014年10月分

第104回(2014年10月16日)

■テーマ:「マンション再生適齢期」〜マンション再生はオールドタウンと呼ばせない多摩ニュータウン再生へ〜
■講師:永井 修(ながい おさむ)さん(多摩市都市整備部ニュータウン再生担当課長)

 今回は久しぶりに行政畑から講師をお招きしました。
 永井さんは昭和54年入庁で、当時は多摩ニュータウンの建設が最盛期を迎える段階にあり、既存地区の「“ニュータウン格差”の解消」が大きなテーマであり、配属された道路整備の部署では大変な仕事量だったようです。その後は下水道の維持更新、出向した多摩市文化振興財団ではパルテノンの大規模改修にも係わられたそうです。平成23年に住宅担当係長、そして平成25年からは住宅担当課長として住宅行政に係わってこられ、この10月1日から新設のニュータウン再生担当課長に就任されました。

 マンション再生の主な対象となるのは、ニュータウン開発の初期10年(昭和46〜56年)に建設された旧耐震基準のマンションで、ニュータウン内18,000戸のうち約6,000戸(65管理組合、461棟)あるとのことです。

 マンションの大規模修繕工事の実施サイクルを概ね12年間とすると、多くの旧耐震基準のマンションは、現在第3回目の大規模修繕工事終え、第4回目に向けた準備段階にあり、次の第4回目には「次代に引き継ぐ貴重な資産」として丁度マンション再生の“適齢期”に差し掛かっている、というのが永井さんの主張されるところです。再生の選択肢として、「1.建替え(例.諏訪2丁目、町田山崎)」「2.建物敷地売却(円滑化法の改正、対象は旧耐震基準のマンション)」「3.耐震改修+大規模リニュアル」という3つの具体的な手法が紹介されました。

 一方、マンション居住者に着目すると、全国的にも多摩市でもマンション所有者の半数以上が60・70代となり自由な時間は持てる、特に多摩市では半数以上が居住年数30年以上であり良好なコミュニケーションが構築されていることを活かして、再生を実現させていくことを強調されました。

 最後に、「建替え」に関する多摩市の支援メニューが紹介され、次年度からは、今まで実施してきた良好な維持管理がテーマの「マンション管理セミナー」に加えて、新たに「再生セミナー」も開催していくそうです。永井さんの閉めの言葉となった「マンション再生はニュータウン再生」から、今後の多摩市の取組みに期待していきたいと思います。

 今回、諏訪2丁目の建て替え前後の居住者の年齢構成、多摩センター周辺で近年建築された大規模マンションにおける居住者の年齢構成などの興味深いデータも披露していただきました。これによると、駅に近い新しいマンションには若年世代や子供たちが多く入居しており、マンション再生の効果はこういう面でも期待できるのではないかということです。

 参加者からは、今後30年、50年先の人口減少時代を見据えたときに、新たに住宅ストックを増やしていくことへの懸念、建て替えに伴う合意形成の過程での住民の軋轢やコミュニティへの影響、マンション以外でも、ニュータウン建設時に一斉に整備された多くの道路や橋などインフラの老朽化への懸念なども出されましたが、現職のニュータウン再生担当課長の担当領域でもあり、丁寧に説明していただきました。(記録F.T)

(2014.10.29[Wed]記載)


Powered by HL-imgdiary Ver.3.00


永山ハウス
コーポラティブ住宅
(c)多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議