多摩ニュータウン
多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議
 
E-mail


まちせんトップ

木曜サロン

記録・報告

%bnindex%...more

2013年05月分

第89回(2013年5月16日)

■テーマ:古い屋敷を再生した協働空間“やぼろじ”〜荒廃した屋敷の再生で、人や自然とつながり合える暮らしを〜
■講 師:和久倫也(わくともなり)さん(WAKUWORKS一級建築士事務所代表/やぼろじ代表)

 今月は、国立市谷保の協働スペース”やぼろじ”の、誕生から運営に至るまで中心となって活動されている和久倫也さんのお話をうかがいました。”やぼろじ”は、谷保駅から徒歩5分、甲州街道沿いにある江戸時代からの旧家の約320坪の敷地が舞台で、この敷地と長く使われていなかった築250年の茅葺の民家をもっと有効に活用できないか、と2009年から様々な人が関わって“やぼろじプロジェク”トがスタートしました。

 改修した母屋は現在、和久さんの設計事務所等のオフィスやカフェでシェアしており、別棟の蔵は職人さんの工房として利用されているとのことです。土地・建物は、地主さんから和久さんが一括して借り受け、シェアしている事務所等からの賃料が和久さんに支払われるというしくみです。

 日々カフェに来る人々の他、庭を利用したお祭りやガーデンパーティなども行われ、様々な人が集い、まちに開かれた場として親しまれています。また、「自然」「食」「農」といったキーワードも人と人のつながりを深めているようです。一方、近隣に昔からお住まいの方の中には、静かだった地域が急に“賑わい”出したことへの違和感を持たれる方もあり、ご近所の理解を得ていくことが今後の課題の一つとのことです。

 このプロジェクトがここまで進んできた大きな“カギ”は二つあるようです。一つは、和久さんは「この場所の魅力にはまった」と話されましたが、江戸時代から守られてきた由緒ある旧家や周辺地域も含めた昔ながらの佇まいの魅力を引き継いでいきたいという、和久さんや運営メンバーの方々の地域への思い。二つ目は、多彩な人との出会いや幅広いネットワーク。まずは、地主さんとの出会いと協力なしにはプロジェクトの誕生はあり得なかったこと、プロジェクトのために動ける人、この場に張り付いて運営や経営を担っていくことができる人材の存在。これらの点は、私たちの身近にある使われなくなった空間を活用する際に大いに参考になりそうです。

 今後、蔵をギャラリーとして活用するなど、まだまだいろいろな取り組みがあるようですが、さらに人と人が出会い、魅力ある場として地域に根づいていくものと、期待しています。最後に、「やぼろじ」という名前の由来ですが、「谷保」は昔「やぼ」と読んだこと、この敷地横の細い路地「ろじ」にちなんで命名したそうです。和久さん、貴重なお話をありがとうございました。(記録T.M)

(2013.5.23[Thu]記載)


Powered by HL-imgdiary Ver.3.00


永山ハウス
コーポラティブ住宅
(c)多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議