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2012年10月分

第82回(2012年10月18日)

【テーマ】 多世代がつながる。緑の活用方法実践事例
【講 師】 北冨真吾 氏(東邦レオ株式会社 Green×Town事業・一級造園施工管理技士)

 マンションの植栽管理における自主管理支援や屋上・壁面緑化のコンサルティングを行ってきた北冨さんをお迎えし、緑の価値や活用事例を紹介して頂きながら、多摩ニュータウンの緑をどのように街づくりに生かせるかについてお話を伺いました。

 まず、緑の商業地域での活用事例として、植樹によって街の景観を統一している黒川温泉や住宅展示場などの例をあげられ、「緑」は販売営業からみる顧客の心理上のアフォーダンスになっているという指摘は、なるほどと納得させられるものでした。また、緑がマンションのコミュニティ形成に役立っている事例として、四季ごとの花の植え替え、屋上菜園の収穫イベント、子供たちによる草取り大会、剪定・植え替え等のイベントをご紹介いただきましたが、イベント単体の企画は失敗しやすく、日頃の植栽管理を通じて得たコミュニケーションがイベント成功の秘訣だったということでした。

 樹木の維持管理費は15年経過すると約3倍に増えるそうですが、多摩ニュータウンのように緑の多い団地の植栽管理は頭の痛い問題でもあります。植栽管理費の削減の方法として、業者全部委託から部分的自主管理への転換や、全てをまんべんなく管理するのではなく効果的な緑(目立つところ)を重点的に管理する方法、イベント併用による住民の緑への関心を高める方法、また、高木は最も費用がかかりますが、専門家による樹木診断や長期計画の立案による伐採の選択など具体的に挙げられ、とても参考になりました。

 植栽管理のポイントをまとめると、(1)第三者の「専門家」による診断・アドバイス、(2)現状の課題を整理して対策を打ち出すという「見える化」、(3)十分な告知による住民の「プロセス参加」だそうです。

 最後に「3びきのかわいいオオカミ」という「3びきのこぶた」をひねった面白い絵本を紹介して頂いたのですが、ラストに植物で作った家でぶたとオオカミが仲直りするという意味深いお話がとても印象的でした。

 北冨さん、貴重なお話をありがとうございました。団地の緑の管理や活用を考える上で大変参考になりました。ご紹介いただいた、子どもたちを引っ張りだす草刈り大会やガーデンキャラバンはすぐにでも実行してみたいと思えるイベントでした。緑をやっかいな維持管理の対象としてみるのではなく、維持管理を通じて、楽しく、団地のコミュニティ形成にも活用してしまおうという試みは、具体的な事例と一緒に聞くことで、とても新鮮で可能性を感じるものでした。(記録I.Y.)

(2012.10.24[Wed]記載)


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