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2012年07月分

第80回(2012年7月19日)

【テーマ】多摩ニュータウン関係資料と地域史研究〜航空斜め写真で読む村絵図〜
【講師】清水裕介 氏(公益財団法人多摩市文化振興財団(パルテノン多摩)歴史ミュージアム 学芸員)

 多摩ニュータウン開発事業が終了し、多摩都市整備本部やUR都市機構など事業者側の膨大な関係資料が、多摩市立図書館やパルテノン多摩に寄贈され、順次整理・公開が進められているそうです。35年以上の期間、時を追って航空写真が撮り続けられてきて、しかも事業者サイドの膨大な資料が地元に残されているという例は、全国どこにもないでしょう。清水さんはこれらの写真資料は文化財的な価値も高いもので、ニュータウン関係資料としてだけでなく幅広い活用ができると話されています。

 今年の秋(9月29日〜10月14日)にはパルテノン多摩25週年事業の一環として「空から街をみる」と題した展示会が予定されています。つい先日は、飛行機をチャーターし、過去の航空写真と比較できるよう、今現在の航空写真を撮影してこられたばかりということで、プロのカメラマンの写真は間に合いませんでしたが、清水さん自身が撮影されたデジカメの写真も見せていただくことができました。

 航空斜め写真の大きな特徴は、真上から撮った垂直写真と違って、地形や高度が把握できるということと、普段見ている建物の壁面が写っているので分かりやすく聞き取り調査をやっても話を引き出しやすいということだそうです。

 開発前と現在の航空写真を比較してみると、とてもおもしろいことが分かりますし、昔の多摩村の暮らしにも思いを馳せることができます。開発前の乞田川は大きく蛇行し、河畔林が繁茂した小さな小川でしかありませんが、そこでは宮崎アニメのトトロの世界に浸ることができるようです。参加した皆さんも、自分の今住んでいる街の昔の様子、多摩で生まれ育った人はふるさとへの郷愁などを、さまざまに感じることのできる時間だったのではないでしょうか。

 落合村の村絵図と開発前の写真を比較すると、絵図に描かれている景色や神社、溜池、森などが航空斜め写真と類似していて場所を比定しやすいということがわかります。昔の人は絵図を描くときに鳥になって空からながめているかのように描いていたのでしょう。そうやって場所を確認しながら、村絵図と開発前の写真、さらに現在の写真と並べてみると時空を超えてながめているような気がしました。

 最後に、秋に公開されるという過去と現在を比較した膨大な数の航空写真の閲覧用システムを紹介していただきました。1400点ほどある写真を一瞬にして時系列で並べたり、特定の地名のものだけを取り出して年代別に分類したり、キーワードで検索したりできるシステムです。記念事業の期間中は特別ブースで自由に閲覧できるそうです。地図や航空写真好きの人にはたまらないですね。私などは入り浸りになりそうです。

 パルテノン多摩では、貴重な収蔵資料を資料集として刊行しています。「航空斜写真で見る多摩ニュータウン」や「多摩の里山」では村絵図も豊富に紹介してあります。これらの資料集はパルテノン多摩1階歴史ミュージアム常設展示室で購入できます。秋に公開される資料の資料集もぜひ刊行してほしいものですがまだ決まっていないそうです。ぜひ、多くの人に見ていただき、アンケートで資料集の刊行を要望すると実現できるだろうとおっしゃっています。

 清水さん、大変おもしろいお話や航空写真の読み解き方など教えていただきありがとうございました。秋の展示会がとても楽しみです。

2012.7.22[Sun]記載)


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