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2009年12月分

第52回(2009年12月17日)

【テーマ】アフガニスタンの素顔と教育復興支援の現場〜NGOスタッフとして関わった経験から〜
【講 師】市川斉 氏(シャンティ国際ボランティア会(SVA)事務局次長・多摩市在住)

 今回は社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)事務局次長の市川斉(いちかわひとし)さんをお迎えし、「アフガニスタンの素顔と教育復興支援の現場〜NGOスタッフとして関わった経験から〜」というテーマでお話を伺いました。

 私たちは、アフガニスタンについて毎日のように報道には接していますが、どれくらい正確な知識や情報をもっているでしょうか。「アフガニスタンについて知っていることを話してみてください。」という問いかけから、市川さんの話は始りました。

 日ごろ接するアフガニスタンのイメージは、イスラム原理主義の国、タリバンやアルカイダによるテロが横行している国という恐ろしいイメージを抱く人が多いのではないでしょうか。一方、ムジャヒディンがソ連の進行を撃退した国、バーミヤンやガンダーラに代表される仏教文化により日本に多大な影響を及ぼした国という、強い国民性や深い歴史文化を有する国であることも我々は知っています。しかし、今のアフガニスタンの人たちの生活や意識、子供たちの暮らしや教育の現場は…となると、ほとんど何も知らないのが現状です。

 同時多発テロ後の米英軍によるアフガニスタンに対する軍事行動は、国土の荒廃や根深い宗派間対立を生み、国内経済は疲弊し、人々は貧困や生命の危険の中で生活しています。

 市川さんは2003年からSVA現地所長としてアフガニスタン東部のナンガハールで教育の復興支援に関わってこられました。アフガニスタンの教育現場は、青空教室で屋外での授業や校舎があってもすし詰め状態で机もイスもないという環境の中で、教える教師もまともな資格のない人たちも多く、一方通行の授業風景、子供たちの笑いや笑顔のない授業といったものだそうです。

 SVAでは、図書館活動を中心に教育復興支援を行っておられますが、そのためには絵本が必要だと、絵本探しから始められることになったのですが、アフガニスタンではタリバン政権以来書物や絵本は禁止されており国中さがしても役に立ちそうなものはなかったということです。

 ないなら作るしかないと、絵本の出版から始めることになるのですが、現地での民話の収集や看板屋さんに絵を描いてもらい、印刷会社とのトラブルなど、多くの困難を経て、ようやく5つの絵本の出版にこぎつけることができたそうです。

 こうやって、絵本をそろえ移動図書館活動がスタートし、子供たちの笑い声や笑顔が広がるにつれ、教師たちの意識や教育のスタイルも徐々に変わっていくのがわかるようになったということです。この過程でも、絵本の女性の体の線が浮き上がっているとクレームがついたり、子供たちが授業で笑っていると翌日からの自分の授業で子供が笑ったらどうするんだと苦情をいう教師の話など、面白い話はまだまだ続きました。
 とても興味深い話ばかりでしたが、詳細をご紹介できる余裕がないことが残念です。

 SVAでは、アフガニスタンのほか、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマーなどの国で図書館活動を中心に教育・文化支援、災害救援活動に取り組んでいます。この活動を支援するためのしくみとして、BOOKOFFの協力で実施している「リサイクル・ブック・エイド」という取り組みがあります。本やCDをBOOKOFFに引き取ってもらい、その売却金がSVAに寄付されることになります。BOOKOFFが集荷し送料も不要ですので、ぜひ、ご協力ください。
詳しくは ⇒ http://sva.or.jp/bookaid/

(2009.12.25[Fri]記載)


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