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2015年07月分

第113回(2015年7月16日)

■テーマ:まちづくり本が結ぶモンゴル訪問記 −ウランバートル市の都市・住宅事情
■講 師:山本 理(やまもと まこと)さん(街と住まいの研究室 代表)

 講師の山本さんは多摩ニュータウンに越してこられる前は浦安に18年間お住まいでした。そのころに「浦安街人(まちうど)の広場」という専門家市民の集まりがあったそうです。たま・まちせんの大先輩のような市民活動です。今から16年前、その活動のなかで生まれたのが、浦安のまちづくり絵本「まちづくりがわかる本ー浦安のまちを読む」でした。

 当時、小中学生向けのまちづくり絵本が石打や伊勢で出版されていましたが、それらの絵本をまとめる中心となった方が浦安街人(まちうど)の広場のメンバーであり、これを題材にした勉強会から浦安でもやろうということになり実現させてしまったということです。

 モンゴルからの留学生が帰国後、この本のモンゴル語訳を出版され、それを機会に出版当時のお仲間とモンゴルに押しかけてしまったというのが、今回のモンゴル訪問の実態だそうです。その顛末と、ウランバートルの都市や住宅の実態をたくさんの写真とともに紹介していただきました。モンゴルでも民主化とともに都市への人口集中が急速に進み、人口300万人のうち半分近くの136万人がウランバートルに住んでいるそうですが、生活環境が全くおいついていない都市事情に驚きでした。

 大草原やゲルでの生活など、のんびりした風土を思い浮かべますが、ウランバートルでは下水道はなくトイレは穴を掘っただけの自然浄化、極端に乾燥した国土で水が少ないため風呂に入る習慣はなく、冬の燃料は低質の石炭主体で、大気汚染も進行しているというような市民の生活。住宅は勝手に区画を塀で囲い、その中に家を建てて住んでいるというゲル地区(ゲルといおうのは住宅という意味だそうです)が山裾にどんどん広がっている様子。目にしたことのないモンゴルの実情と市民の生活に驚きの連続でした。

 あまりよくないことばかり紹介してしまいましたが、地方の自然やモンゴルの人たちの優しい気質などいいところもたくさん紹介していただいたことも付記しておきます。ただ、食事はヒツジの肉が中心で、モンゴル料理はもちろん、日本食であろうが中華であろうが西洋風であろうが「何が何でも肉を食う」というのが山もさんのモンゴル料理評です。

 今回のサロンを機会に、山本さんたちがまとめられた「まちづくりがわかる本ー浦安のまちを読む」を改めてひも解いてみました。小中学生向けといっても、言葉遣いや専門用語はそのままに、解説や説明をつけて正確に丁寧に伝えるという考え方がよくわかります。子供むけというより、こどもにも理解できる大人向けのまちづくり読本という内容です。こういう本、多摩ニュータウンにも欲しい。実際、山本さんたちは多摩ニュータウン学会の活動で、多摩ニュータウン版のまちづくり本を手掛けようとされてたのですが、残念ながら立ち消えになってしまいました。

 先輩諸兄のまちづくりへの思いや志、日本のまちづくりを先導してきた多摩ニュータウンの様々な試み、これらを再確認しつつ未来のまちづくりに継承していくことができれば・・・・という思いを新たにしています。山本さんにはお忙しいなか、準備にも多くの時間を割いていただき、貴重な資料や映像もたくさん用意していただきました。ありがとうございました。

(2015.7.29[Wed]記載)


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