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木曜サロン

記録・報告

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2011年05月分

第67回(2011年5月19日)

【テーマ】人口減少時代の多摩ニュータウンの都市づくりと広域行政 〜アメリカにおける広域連携の取り組みに学ぶ〜
【講 師】西浦定継 氏(明星大学理工学部教授、多摩ニュータウン学会筆頭理事)

 5月木曜サロンは明星大学理工学部教授で、多摩ニュータウン学会筆頭理事でもある西浦定継さんをお迎えし、「人口減少時代の多摩ニュータウンの都市づくりと広域行政を考える」〜アメリカにおける広域連携の取り組みに学ぶ〜というテーマでお話していただきました。

 事務局からの無理な注文を聞いていただき「人口減少時代の多摩ニュータウンの都市づくり・・・を考える」というテーマにしていただきましたが、それにちなんで、大幅な人口減少都市の実例として、オハイオ州のヤングスタウンとペンシルバニア州のピッツバークの都市政策についてお話していただきました。

 ヤングスタウンはシュリンキングポリシーを都市政策に導入し、身の丈に合った環境重視、公共サービスの縮小を実践している都市で、放棄された土地を収用し緑地や市民農園、産業用地、コミュニティスペースなどに転換、再利用するための「ランドバンク」のしくみや「自発的移転促進プログラム」という制度が興味を引きました。詳しく解説する紙面がないのが残念ですが、ランドバンクなどは東日本大震災でも応用できそうな仕組みだと思いました。

 次いで、コミュニティプランを徹底して実施しているワシントン州のシアトル、サスティナブルポリシーに取り組むオレゴン州ポートランドの都市づくりとこれらの都市を含む広域計画機関である”Puget Sound Regional Council”及び”Metro”の事例を紹介していただきました。

 これらの広域計画機関が土地利用、交通計画などの広域の骨格を定め、自治体はこれに整合した計画をある程度の選択の幅を持って決めるというシステムができているようです。広域行政機関は都市政策の目標を定めるとともに、その達成度を数値として示し住民に成果が目に見えるようにしているということが重要なポイントのようです。

 将来目標を実現するためのプランニングとして求められるのは、「広域ビジョンを全員参加でつくり、みなで責任を持つこと」「広域計画機関が地域情報の一元管理、広域ビジョンの策定を担うこと」「個々の自治体が地域ビジョンに整合したマスタープランを住澪ん参加で作成すること」という指摘は、現状の日本の計画システムや住民参加の未熟さを思い知らされる話でもありました。

 あまり詳細に報告できないのが大変残念ですが、西浦先生の著書(共著)に、ポートランドやシアトルの都市政策や広域計画について論じたものがあります。ぜひ、これを参考にしていただきたいと思います。
・「スマートグロース アメリカのサスティナブルな都市圏政策」(学芸出版社)
・「広域計画と地域の持続可能性」(学芸出版社)

(2011.5.31[Tue]記載)


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